パーキンソン病治療ガイドライン2011(抜粋)


第Ⅱ編 クリニカル・クエスチョン パーキンソン病の薬物治療はいつ開始すべきか
パーキンソン病の治療は,症状の程度,日常生活の不自由さ,職業を勘案して開始する
背景・目的
実験的にL-ドパは代謝の過程で活性酸素を生じることが示されたため,L-ドパの服用はドパミン神経の変性を促進する可能性が挙げられている
.また,運動合併症の発生
を抑制するためにL-ドパの使用をなるべく遅らせるべきだとの提案もなされている
このことから治療開始時期を検討するためにJ通りの研究が実施されている.一つは,
パーキンソン病の診断時に薬物治療の開始を遅らせ,数か月間経過を観察してから薬物治療を開始した群と,診断後に遅らせることなく治療を開始した群を比較する研究であり,もう一つは,治療開始は遅らせることなく同時期に治療を開始するが,L-ドパで開始する群とドパミンアゴニストで開始する群を長期間観察し,長期の予後を観察して検討するる群とドパミンアゴニストで開始する群を長期間観察し,長期の予後を観察して検討する
解説・エビデンス
パーキンソン病の診断後すぐに,あるいは,まもなく治療薬を特定せずにL-ドパ,ドパミンアゴニスト,セレギリン,アマンタジン,抗コリン薬のいずれかで治療を開始した群と,平均3?か月間治療薬の開始を遅らせた群を比較すると,治療薬を遅らせた症例ではパーキンソン病症状が悪化した.治療した群では症状の悪化はみられず,治療薬の開始を遅らせるメリットはなかった
.また,モノアミン酸化酵素B
(MAOB)阻害薬のrasagilineによる治療では,プラセボを-か月間投与した後に実薬を-か月間投与した群と,初めから実薬を3Jか月間投与した群との比較で-か月間投与した群と,初めから実薬を3Jか月間投与した群との比較で評価は遅れて治療した群で障害が強かった
長期予後を検討した結果では,治療の開始を遅らせることによる死亡率の改善はみられなかった
第II編クリニカル・クエスチョン
L-ドパによる治療開始を遅らせるべきだとの提案に対しては,長期の予後について検討されている.L-ドパ単独,ドパミンアゴニストのブロモクリプチン,L-ドパとセレギリンの群で開始した長期予後の検討では,平均3μ年後まで評価したところ,L-ドパ開始群で死亡率の高まることはなかった.また,運動合併症,認知症の頻度にも差はみられず,L-ドパによる治療開始を遅らせることにより長期予後が改善されることはなかった
.なお,L-ドパ治療の開始を遅らせ,非麦角系ドパミンアゴニストで開始した群では,運動合併症は軽かった.しかし,日中過眠,浮腫,幻覚は多く,運動症状の改善はL-ドパで開始した群で優れていた
推奨を臨床に用いる際の注意点
薬物治療の開始を遅らせることにより神経変性が予防されるエビデンスはなく,むしろ運動症状は悪化することから,薬物による治療開始を遅らせる必要はないパーキンソン病治療ガイドライン2011(抜粋)
第Ⅱ編 クリニカル・クエスチョン パーキンソン病の薬物治療はいつ開始すべきか
パーキンソン病の治療は,症状の程度,日常生活の不自由さ,職業を勘案して開始する
背景・目的
実験的にL-ドパは代謝の過程で活性酸素を生じることが示されたため,L-ドパの服用はドパミン神経の変性を促進する可能性が挙げられている
.また,運動合併症の発生
を抑制するためにL-ドパの使用をなるべく遅らせるべきだとの提案もなされている
このことから治療開始時期を検討するためにJ通りの研究が実施されている.一つは,
パーキンソン病の診断時に薬物治療の開始を遅らせ,数か月間経過を観察してから薬物治療を開始した群と,診断後に遅らせることなく治療を開始した群を比較する研究であり,もう一つは,治療開始は遅らせることなく同時期に治療を開始するが,L-ドパで開始する群とドパミンアゴニストで開始する群を長期間観察し,長期の予後を観察して検討するる群とドパミンアゴニストで開始する群を長期間観察し,長期の予後を観察して検討する
解説・エビデンス
パーキンソン病の診断後すぐに,あるいは,まもなく治療薬を特定せずにL-ドパ,ドパミンアゴニスト,セレギリン,アマンタジン,抗コリン薬のいずれかで治療を開始した群と,平均3?か月間治療薬の開始を遅らせた群を比較すると,治療薬を遅らせた症例ではパーキンソン病症状が悪化した.治療した群では症状の悪化はみられず,治療薬の開始を遅らせるメリットはなかった
.また,モノアミン酸化酵素B
(MAOB)阻害薬のrasagilineによる治療では,プラセボを-か月間投与した後に実薬を-か月間投与した群と,初めから実薬を3Jか月間投与した群との比較で-か月間投与した群と,初めから実薬を3Jか月間投与した群との比較で評価は遅れて治療した群で障害が強かった
長期予後を検討した結果では,治療の開始を遅らせることによる死亡率の改善はみられなかった
第II編クリニカル・クエスチョン
L-ドパによる治療開始を遅らせるべきだとの提案に対しては,長期の予後について検討されている.L-ドパ単独,ドパミンアゴニストのブロモクリプチン,L-ドパとセレギリンの群で開始した長期予後の検討では,平均3μ年後まで評価したところ,L-ドパ開始群で死亡率の高まることはなかった.また,運動合併症,認知症の頻度にも差はみられず,L-ドパによる治療開始を遅らせることにより長期予後が改善されることはなかった
.なお,L-ドパ治療の開始を遅らせ,非麦角系ドパミンアゴニストで開始した群では,運動合併症は軽かった.しかし,日中過眠,浮腫,幻覚は多く,運動症状の改善はL-ドパで開始した群で優れていた
推奨を臨床に用いる際の注意点
薬物治療の開始を遅らせることにより神経変性が予防されるエビデンスはなく,むしろ運動症状は悪化することから,薬物による治療開始を遅らせる必要はないパーキンソン病治療ガイドライン2011(抜粋)
第Ⅱ編 クリニカル・クエスチョン パーキンソン病の薬物治療はいつ開始すべきか
パーキンソン病の治療は,症状の程度,日常生活の不自由さ,職業を勘案して開始する
背景・目的
実験的にL-ドパは代謝の過程で活性酸素を生じることが示されたため,L-ドパの服用はドパミン神経の変性を促進する可能性が挙げられている
.また,運動合併症の発生
を抑制するためにL-ドパの使用をなるべく遅らせるべきだとの提案もなされている
このことから治療開始時期を検討するためにJ通りの研究が実施されている.一つは,
パーキンソン病の診断時に薬物治療の開始を遅らせ,数か月間経過を観察してから薬物治療を開始した群と,診断後に遅らせることなく治療を開始した群を比較する研究であり,もう一つは,治療開始は遅らせることなく同時期に治療を開始するが,L-ドパで開始する群とドパミンアゴニストで開始する群を長期間観察し,長期の予後を観察して検討するる群とドパミンアゴニストで開始する群を長期間観察し,長期の予後を観察して検討する
解説・エビデンス
パーキンソン病の診断後すぐに,あるいは,まもなく治療薬を特定せずにL-ドパ,ドパミンアゴニスト,セレギリン,アマンタジン,抗コリン薬のいずれかで治療を開始した群と,平均3?か月間治療薬の開始を遅らせた群を比較すると,治療薬を遅らせた症例ではパーキンソン病症状が悪化した.治療した群では症状の悪化はみられず,治療薬の開始を遅らせるメリットはなかった
.また,モノアミン酸化酵素B
(MAOB)阻害薬のrasagilineによる治療では,プラセボを-か月間投与した後に実薬を-か月間投与した群と,初めから実薬を3Jか月間投与した群との比較で-か月間投与した群と,初めから実薬を3Jか月間投与した群との比較で評価は遅れて治療した群で障害が強かった
長期予後を検討した結果では,治療の開始を遅らせることによる死亡率の改善はみられなかった
第II編クリニカル・クエスチョン
L-ドパによる治療開始を遅らせるべきだとの提案に対しては,長期の予後について検討されている.L-ドパ単独,ドパミンアゴニストのブロモクリプチン,L-ドパとセレギリンの群で開始した長期予後の検討では,平均3μ年後まで評価したところ,L-ドパ開始群で死亡率の高まることはなかった.また,運動合併症,認知症の頻度にも差はみられず,L-ドパによる治療開始を遅らせることにより長期予後が改善されることはなかった
.なお,L-ドパ治療の開始を遅らせ,非麦角系ドパミンアゴニストで開始した群では,運動合併症は軽かった.しかし,日中過眠,浮腫,幻覚は多く,運動症状の改善はL-ドパで開始した群で優れていた
推奨を臨床に用いる際の注意点
薬物治療の開始を遅らせることにより神経変性が予防されるエビデンスはなく,むしろ運動症状は悪化することから,薬物による治療開始を遅らせる必要はない